サッカーコラム:2012年5月:だからサッカーは面白い

これだけ世界の壁がなくなり

インターネットや交通の発達で

国と国の交流がもはや遠足気分になった昨今。


それでもそれぞれの地方にはそれぞれのサッカーと文化がある。

それは決して消えない。


どんなに海外から選手を「輸入」しても


ドイツは堅実なサッカーをし


スペインはパスのつながりを競いあい


イタリアは ただ ただ 耐え続け


そして イングランドは

無骨なまでにセンタリングからの

競り合いを続ける。


マンチェスターC 対 QPR 

1-2 で負けてる状態。

相手は一人退場者を出しており、少ない状況。


優勝争いをしてる強豪マンチェスターUは当然のように勝利をものにした。

つまり勝たなければ優勝はできない。


対するQPRも引き分ければ残留が決まる。

絶対に2部に落ちたくない意地もあり、

City以上の集中力を見せて全員で守り続ける。




そんな中を崩すのは今やお手の物となったバルサが見せるような

細かいエリアでのワンツーや裏への動き、

そしてやや強引なドリブルだったりするのだが


やはりイングランドはイングランドであった。


10人全員で守り続けるゴールの上空に

愚直なまでにロングボールを蹴り続け


悲しいまでに跳ね返され続けた。


普段は憎らしいほど上手な

テべスやナスリやシルバやアグエリのシュートが


ことごとく明後日の方向に飛んでいく。

無理な体勢から無理なシュートを繰り返し、

打てないとなるとまたサイドに戻して空中戦。




愚かなほどに一辺倒な攻撃。

だがそれが胸を打つときもある。


ここ10数年 マンチェスターUの独壇場だったプレミアリーグ。

同じ地域にいながら優勝争いさえできなかったライバルチーム。


そのCityがいま勝てば優勝できるところまで来てる・・・


なのに。。。


ファンはまだ30分以上もあるのに、この現状(1-2で負けてる)を

受け入れられずに泣き出す者さえいた。

歴史が変わるかどうかの瀬戸際の試合だったから。


Cityが真の強豪として、勝者となりえるのか?


その答えはロスタイムに出た。




90分を戦いおえ、残すは5分のロスタイム。




監督は何かと問題のあったバロテッリ(すぐ問題を起こすが才能はすごい)を

最後の最後で、もう一度だけ信じた。


暴力行為や飲み歩きが報じられるなど

やんちゃな悪童として名をはせたバロテッリを

養護し、使い続けた監督も先月あたりについに愛想を尽かしたと言い放っていた。


だが、親が息子を信じるように、


この大一番の最後の最後でバロテッリに賭けたのだ。

そしてその賭けに勝った。


いや、もはや 信じ続けたこれまでの時間が

やっと実ったと言うべきか。


ロスタイムのCK。シルバが蹴ったボールにFWジェコが飛び込んで同点。

挑み続けた空中戦で初めて勝った瞬間。

そしてQPRからすれば初めて集中が切れた瞬間だった。


そして奇跡は続く。

アグエロの縦パスを受けたバロテッリが

サイドに流すのではなく無理なシュートでもなく、

走りこんだアグエロに倒れながら見事なパス!


自分のことしか考えなかった悪童が

チームメイトとさえも喧嘩が絶えない彼が


自らがつぶれながら味方を生かしたのだ!

その思いを受け取ったアグエロがまさに奇跡的なゴールを決める!!


思えばCityの誰もが優勝をあきらめず

どんなに跳ね返されてもひたすらに挑み続けた結果。

愚直だと評した不格好でも自分たちの攻撃を信じ続けた結果。

悪童の更生を信じ続けた監督の信念。

選手の信念が生んだ軌跡だっただろう。


あと5分ですべてが終わる。

そのたった5分ですべてを変えてみせたCity。

マンチェスターUにしてみればあと数分で優勝パレード。。。だったものを

すべてを奪い去られた瞬間だった。


信じぬいた監督と悪童の物語。

長年の不遇をかこったライバルチームとの物語。

奇跡的なゴールを決めたチームのお話。


これはすべてノンフィクションであり


だから サッカーは面白い。






※ この記事は、2012年5月14日にアメブロ「虚言」で書いたものを移しました。

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